【簿記入門】自社の株式に関係する取り引き(ライブドアの自社株売却は何がマズかったか)
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今回は、自社の株式についてです。
日商3級の範囲は超えているとおもうので、超入門ではありません。
(でも中身はカンタン。)
ライブドア事件という分かりやすい例(汗)もありますので、「フーン」って感じで読んでいただければと思います。
[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”ORE.png” name=”タナカ”]山梨県で税理士として開業予定のタナカです。いつも読んでる税理士さんのブログが貸借対照表ネタだったので、わたしも乗っかって。
後出しジャンケンみたいなことを言いますが、LD事件についてはホントは前回のときに書きたかったんです。[/speech_bubble]
前回【簿記超入門】日商3級レベルが一番大事、だからこそ最初にB/S・P/L
<1>資本金は営業活動の元手
資本金は、営業活動の元手です。
(会社ではなく個人で仕事をする場合は、「元入金」と言います。)
会社を始めるにあたり、まずはお金を出してくれる人(出資者)を探します。
出資者には、お金を出してもらった代わりに、その会社の株式を持ってもらう。
中小零細企業だと、ほとんどの場合、社長が100%出資ですね。
出資者が見つかって出資金(資本金)を払い込んでもらったら、仕訳は次のようになります。
(現金)100 (資本金)100
貸借対照表(B/S)は次のとおりです。
貸借対照表(B/S)
資本金は返さなくていいお金
この資本金、基本的には出資者に返しません。
出資する人がお金を払い込んで(=出資)その代わりにもらった株式には、ザックリ次のような権利が付いています。
- 議決権(経営に口を出す権利)
- 配当金(会社がもうけて出た利益の一部)をもらう権利
経営方針に口を出していい。
会社が大きくなってもうかったら、もうけの一部を渡します。
ただし、失敗しても出資したお金は返せません。
こんな感じ(‘◇’)ゞ
資本金は利益ではない
資本金は返さなくていいお金。
「元本+利子」で返済する借金とはぜんぜん違いますし、もうけた気がします。
しかし、このお金は、あくまでも元手。
会社はこのお金を元にして、営業活動を行っていきます。
(これが利益だったら、いきなり税金が取られてしまいます。。)
<2>「もうけ」から税金と配当金を支払って、残った「もうけ」は純資産の部へ
会社がおこなう営業活動の成績は、たいていの場合、一年間という期間で区切って計算します。
その一年間の営業活動で利益が出たら、税金を支払わなければいけません。
さらに、税引き後の利益の内から出資者(株主)に配当金を支払います。
さらにその残り(税引き後の利益-配当金)が、会社のお金として残ります。
前回の損益計算書(P/L)の図を使うと、黄色の部分から税金と配当金を差し引いた残りです。
損益計算書(P/L)
利益-税金-配当金=20
であれば、「20」は資本金と同じ純資産の部に利益剰余金として記載されます。
(「利益剰余金」ではない場合もあります。)
貸借対照表(B/S)
基本的には(こればっかでスミマセン…)この120を元手に、来季やっていこうとなるわけです。
[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”ORE.png” name=”タナカ”]このB/Sだと資産の全部が現金ですが、実際の会社は 建物・土地・商品 だったりするわけです。現金とは違って、用途が限られてきます。[/speech_bubble]
<3>自己株式の取得と売却
自己株式の取得
資本金は基本的には株主(出資者)には返しません。
しかし実を言いますと、会社は株主から自社の株式を買い取ることができます。
仕訳はこうなります。
(自己株式)50 (現金)50
貸借対照表(B/S)はこうです。
出資時に入って来るお金は利益にならない。
であれば、自社株の買い戻しに使ったお金も費用にはなりません。
B/Sでお分かりのかたもいると思いますが、資産でもありません。
資本の払戻しとして、純資産の部の控除項目になります。
(純資産の部にマイナス表示します。「資本の払戻し」という感じがしますよね。)
[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”ORE.png” name=”タナカ”]返さなくていいお金なのに、なぜわざわざこんなことをするのか。理由はあります。
会社がもうかってお金が余っていたら、自己株式を買い戻す。そうして株主を減らせば、配当金の支払いが減らせます。
残った株主は、会社への影響力を強くすることができて嬉しい。(希少価値が出るイメージですね。)
株式市場も好感する傾向にあるみたいです。[/speech_bubble]
自己株式をもう一度買ってもらう
先ほど買い戻しした自己株式を、もう一度売ることもできます。
50で買い戻した自己株式を、70で買ってくれる株主が現れたとしましょう。
仕訳はこうなります。
(現金)70 | (自己株式) | 50 |
---|---|---|
(資本剰余金) | 20 |
B/Sはこうなります。
自己株式の売却で得た利益部分20は、損益計算書(P/L)には載りません。
会社を作ったときに株主から受けた出資と考えかたは同じです。
貸借対照表(B/S)上、純資産の部に記載されます。
- 100の出資
- 50買い戻し
- 70で自己株式を買ってもらう
100-50+70=120 が純資産の部を構成することになります。
(ここでは<2>の利益剰余金は除いて考えてください。)
ライブドア事件は何が問題だった?
最後にライブドア事件についてです。
٩( ”ω” )و
わたし、そう詳しくあの事件のことを知っているわけではありません。
それと、堀江貴文さんの指示でインチキ経理があったとは、あまり思っていません。
(当時の報道と堀江さんの釈明から、想像するくらいしかできませんが。)
はい、本題!٩( ”ω” )و
ライブドアは、当時、上場会社でした。
上場している会社は、有価証券報告書というものを内閣総理大臣に提出しないといけません。
(ほかに細かい要件がありますが、ここでは触れません。)
非上場の会社よりはるかに、仮装経理に厳しいです。
税務署の関心は税金だけ?
税務署は基本的(こればっか…)に、利益水増しには無関心です。
(利益を盛った分、税金が大きくなるだけだからです。)
しかし、故意でも故意でなくても、税金を少なく申告することには厳しいです。
上場会社の利益水増しは他の法律が許さない
上場会社の申告は、税金のための申告以外にも大事な役割があります。
会社の成績表としての役割ですね。
(少なくとも決算書はこちらが本来の役割。)
投資家たちはその会社の成績表(決算書)を見て、投資の意思決定をします。
その会社の株式の値段(株価)はその会社の成績だけで決まるものではないですが、その会社の成績の情報もかなり大事です。
上方修正でも下方修正でも、株主は誤った判断をしてしまいますからね。
(下方修正は税務署も許しません。)
ライブドア社の自己株式の売却
前置きが長くなりました。
(;´Д`A “`
具体的に、ライブドア社がいくらの自己株式を、いくらで売却したかは知りません。。
しかし、ライブドアが自己株式の売却で行った処理を仕訳にしますとこんな感じ。
(現金)××× | (自己株式) | ××× |
---|---|---|
(売却益) | ××× |
売った結果、差額で得をした部分を損益計算書(P/L)に載せてしまいました。
本来は、<3>で書いたとおり、純資産の部に直接記載すべき数字です。
売却益として損益計算書(P/L)に計上する数字ではありません。
当時のライブドアのナンバー2は、当時税理士の宮内氏。
役員が故意に行ったと取られて仕方ないでしょう。
(役員に税理士がいなくてもアウトですが。)
堀江さんの裁判では、この経理処理に堀江さん本人が関わっていたかどうか(堀江さんの指示だったかどうか)が争点でした。
堀江さん自身が容疑を認めれば、執行猶予が付いた可能性もあったのではとも言われていますが。。
(わたしがどうこう書けるものではないです。)
ライブドアの一件の真相は、わたしには分かりません。
でも、ナンバー2以下の忖度があったとすれば。。
当事者にしかわからない世界ですね。[/speech_bubble]
【編集後記】
「あすけん」というAndroidアプリで、レコーディングダイエットを始めてみました。
厳密に言うと「レコーディング」だけなのですが。
(記録するだけで、ダイエットは始めていません。)
食べたものを一覧から正確に選ぶのはなかなか難しく、摂取カロリーをどこまで正確に出せるか難しいところ。
でも、だいたいの目安にはなりそうです。
そして「こんなに食ってたのか」と、初日からビックリしています。
(;´Д`A “`
【昨日の一日一新】
- ダイソーで三文判
- 雑誌「BIG tomorrow」(とあるコーナーを確認)