『税制改正の基本的考え方』解説|令和7年度税制改正大綱より
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2024年12月20日、令和7年度税制改正大綱が公表となりました。
以下「基本的考え方」についてまとめました。
1ページ
デフレ脱却が見えた
「物価高や戦争によってインフレを押しつけられた」のだと思う
少なくとも自公与党の手腕ではないし、大変苦しい物価高と言わざるを得ない
働き方の多様化に対応した改正を行ってきた
具体的な中身のご教示を
国民民主党案の「所得税の壁178万円への引上げ」は、多様化対応の1つであることは間違いないと思う
2ページ
少子高齢化、人口減少が深刻
長年放ったらかした政府与党
「女性は産む機械」など、世論をドン引かせたのも政府与党議員
働きたい人が働きやすい環境をつくり
178万円への壁引上げが実現していれば、環境づくりに一役買ったと思う
カーボンニュートラル目標
やるのは主に民間企業
措置法による恩恵はあるが、敷居が高いカーボンニュートラル税制
防衛費の安定的確保に国民の理解を得、与党として説明責任を果たす
かつて果たされた「説明責任」があったかどうか
賃上げと投資で成長型経済
「賃上げ」は民間任せ
「投資」も民間任せ
(ご褒美は措置法)
特定親族特別控除(仮称)
配偶者特別控除の「19歳から22歳」版
悪くないと思うが、所得税法がまた1つ複雑になった
(「4ページ」に続きあり。詳細は同大綱21ページ)
エンジェル税制見直し
「5ページ」に続く
NISAの利便性向上
公的年金をあてにすな、という本音が見え隠れ
引き続き大企業に国内設備投資・賃上げを迫る
取り組まないと措置法はおあずけ
売上高100億円超の中小企業の設備投資応援
「8ページ」に続く
3ページ
地方公共団体の税収を確保
住民税の100万円の壁引上げにどうしても反対したい言い訳
ライフコース多様化、経済グローバル化、デジタル化
日本語訳もお願いします
iDeCo拠出限度額引上げ
国民年金、厚生年金をあてにすなというメッセージか
(お金に余裕ある人にはよき改正)
企業間の公正な競争条件の確保→グローバル・ミニマム課税
スキあらば増税
外国人旅行者向け免税店のルール改正
やっとこさ
日本の消費税をごまかす不届き者の外国人に告ぐ
103万円の壁は178万円を目指す
第一歩が123万円
先は長い
ガソリン暫定税率の廃止
具体的にはこれから
期限について言及なし
4ページ
自公は引き続き真摯に協議を行っていく
嘘も方便
真摯の尺度は人により、時と場合による
基礎控除58万円に引き上げ
物価高への対応というのが建前
国民民主案さえなければ、したくなかった
国民目線ではガッカリも、まぁないよりはいいか
給与所得控除・最低補償額を65万円に引き上げ
10万円の引上げ
基礎控除と合わせて20万円
壁が123万に引き上がった内訳
(ショボい)
大学生は給与収入150万円まで扶養控除の対象へ
上の方に書いた「特定親族特別控除」のこと
「配偶者特別控除」と同じような建て付け
同一生計配偶者・扶養親族の所得要件
配偶者控除・扶養控除の要件であった48万円以下を「58万円」に
基礎控除が引き上がったから当然の措置
5ページ
住民税の扶養控除などの引上げは令和8年から適用
その頃には総理が代わって総務大臣も代わって有耶無耶に…
通勤手当の見直し
エネルギー価格上昇にともなって通勤手当の非課税限度額を迅速に見直すとのこと
とりあえずガソリン暫定税率廃止すれば?
スタートアップへの再投資
金持ちにスタートアップを応援させる仕組み
株取得の翌年に売ったら課税
まぁ悪いこっちゃないか
6ページ
ストックオプション制度・税優遇効果スキームへの迅速な対応
国税が意図しない税のがれには迅速に動く
NISA口座数が2000万超。この流れを一層着実なものに
具体的には「NISAつみたて投資枠についてETFを購入しやすい環境整備」など
まぁ悪くはないのだろうが
今後の法人税のあり方
せっかく法人税率を引き下げたのに「設備投資・雇用・賃上げに金を使わず貯金してばかり」
「海外にばかり投資している」など
一部の大企業は確かにそのとおりなのだろう
が、法人税率引き下げは世界基準に合わせざるを得なかったから(では?)
税率高いままだったら有力企業が海外に出てっちゃう
7ページ
今後の法人税のあり方・続き
「法人税改革は意図した成果を上げてこなかったからあり方を転換せねばならない」
「賃上げを働きかける」
措置法の適用に制限をかけるやつ、うまくいってる?
その他考慮すべき課題
「措置法の見直し」
金持ち優遇と言われ続けた「結婚・子育て資金の一括贈与」が廃止になるとネット記事で見たが、同大綱によれば「2年延長」
あれれ?
(「13ページ」に続きます)
8ページ
売上高100億を目指す中小企業の後押し
「経営強化税制と中小企業投資促進税制の2年延長」
「中小企業経営強化税制の3年延長」
ですって
中小企業所得800万円までの軽減税率見直し?
現行15%
2年延長するが、高所得の中小企業については、2年後の税制改正で終わりにするかも
9ページ
法人版事業承継税制・役員就任要件の見直し
「現行:贈与の日まで引き続き3年以上→贈与の直前」
令和9年中に役員になった後、同年中に株を贈与…というギリギリ贈与が可能に
令和9年という期限は延長なし、ご注意を
(大綱に「絶対にもう延長しないぞ!」という雰囲気で書かれております)
個人版事業承継税制・事業従事要件の見直し
こちらも法人版と同じく「現行3年以上」が「直前」に
こちらは現行どおり令和10年大晦日まで
個人事業承継計画の提出期限も現行どおりの令和8年3月
同大綱には「事業承継のあり方については今後も検討する」と
情勢によっては令和8年度税制改正以降で延長があるのかも
固定資産税の課税標準の特例措置
賃上げの条件を加えて「2年延長」
企業版ふるさと納税
「必要な見直しを行い3年延長」
地方発展のための地方税体型の構築
「次の税制改正大綱で結論を得る」
覚えておきます
(忘れそう…)
10ページ
野外分煙施設の整備促進
いっそう促すらしい
私的年金等に関する公平な税制の見直し
「iDeCo等の拠出限度額引上げ」
「拠出限度額の考え方について次の年金制度改革までに検討・結論を得る」
一方で、給付時課税について見直しを行っていくと記載あり
将来、私的年金が増税になるかも知れませんな…
11ページ
退職金
退職金については、勤続年数20年未満の退職所得控除を引き上げる案が有力です
…が、7年改正では採用されず(いつからと記載もなし)
私的年金含め、一時金払い・年金払いの公平性?も今後の課題と
「具体的な案の検討を進めていく」と
公的年金等
「給与所得控除と公的年金等控除の合計額の上限を280万円とする」
在職老齢年金制度の見直しの結論を待って、8年税制改正で法制化するとのこと
12ページ
高校生の扶養控除/ひとり親控除
「8年所得税、9年個人住民税では現行制度を維持」
「見直しは8年以降の税制改正で」
とのこと
記帳水準の向上等
今回も「検討」
青色申告特別控除の引上げ、どうでしょうか?
13ページ
子育て世帯・住宅ローン控除など
子育て支援税制として住宅ローン控除の拡充、住宅リフォーム税制の拡充
7年限りの措置ですって
子育て世帯・生命保険料控除(新生命保険一般枠)
22歳までの扶養親族を有する場合、
「8年分所得税について、4万円の限度額を6万円に」
「一般・介護・個人年金の3つを合わせた12万円の限度額は変更なし」
結婚・子育て資金の一括贈与
5年大綱で「廃止も含め、改めて検討」とされた後も利用低迷
…だが、こども未来戦略との兼ね合いもあり2年延長
なるほどそういうことだったかと、まぁまぁ腑に落ちた
14ページ
新たな国際課税ルールへの対応
デジタル化に伴う課税上の国際合意の実施に向けた取組みを進めたいよー
法制化したいよー
外国子会社つかった租税回避を抑制したいよー
二重課税除去しないとねー
2本の柱、検討検討、体制強化だよー
(要はなんも決まってないと。8年大綱へ続く)
15ページ
外国人旅行者向け免税店について
いったん消費税支払ってもらって、出国時に返す
上にも書いたとおり、インチキする外国人がたくさんいるから変わります
16ページ
越境!電子商取引の消費税
国外事業者の消費税無申告など、国内外の事業者間に不公平感
「あり方について検討を行います」よと
自動車関係諸税(見直しの基本的考え方)
「2050年カーボンニュートラルの実現に貢献するものでなければならない」
財源(税収)確保が前提
質の高い電気自動車等の普及に資する税制
(まちがっても中国製の輸入を勧めたりしないでね…)
脱炭素化
17ページ
自動車関係諸税(車体課税)
「重量や環境性能に応じた公平中立簡素な税負担を目指す」
「8年改正で結論を得る」
自動車関係諸税(利用に応じた負担)
「利用に応じた負担について多面的に検討」
「8年改正で結論を得る」
防衛増税(法人税)
防衛特別法人税(仮称・R8.4.1以後開始事業年度より)
(法人税額ー500万円)× 4%
18ページ
防衛増税(所得税)
引き続き検討
防衛増税(たばこ税)
(その1)重量で課税、軽量のものは紙巻きタバコ1本として課税(R8.4、R8.10に実施)
(その2)0.5円/1本ずつ引き上げ(R9.4、R10.4、R11.4に実施)
電子申告・電子納税
電子申告と電子納税を推し進めていきたい
会計・税務のデジタル化
取引の段階から誤りが生じにくい仕組みづくり
地方税も電子
19ページ
課税・徴収手続き
誠実な納税者が損をしないようにしたい
税務調査に協力してほしい
税務調査に正当な理由なく非協力的、不正加担、について引き続き対応検討
物納許可限度額の計算について見直し、納税者への丁寧な説明
Writer|田中雅樹(税理士)
●単発相談担当・税務顧問担当はタナカ本人です
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案
●山梨県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』他を担当(2019年4月~)
●FM-FUJI「教えて税理士さん」出演(東京地方税理士会広報活動)
●ブログは毎日
本日記
外がすっかり暗くなってから公表となった令和7年税制改正大綱。
読んでまとめる(?)のに3時間、チェックに1時間かけました。
それでも大したものではないでしょうが、楽しく読んでいただければ幸いです。
今日のラジオ
●木曜キックス
●佐久間宣行のオールナイトニッポン0