ニガテを “半分、強い” に。山梨県中央市の税理士

消防団員,報酬の一部が給与課税に。2022年4月から。

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※以下の記事は2021年10月に執筆したものです。
※2022年3月23日、国税庁サイトで公表された【所得税基本通達の制定について】の改正によれば、従来どおり「ほぼ非課税」となりました。

消防団員が受ける報酬は,やっぱり非課税ってことになった件!

 

地域の消防団員への報酬の一部が、2022年(令和4年)4月1日から給与課税されます。
※「給与課税」とは「給料に税金がかかる」という意味です。ザックリ。

出動に応じて支給される報酬が給与課税に

現役の消防団員、あるいは、かつて消防団員であったかたはご存知でしょう。
消防団員はその活動の報酬として、
●年払いのもの(固定の報酬)
●出動回数に応じたもの
が、市区町村から支給されることになっています。
いわゆる有料ボランティアというやつです。

これらの報酬は『所得税基本通達』というものに、「非課税として差し支えない」(税金をかけなくてよい)と書かれています。(2021年10月現在)
このうち「出動回数に応じた報酬」が、2022年4月から、「給与など」として税金がかかることになりました。
ずっと「非課税」(=税金をかけない)としていた『所得税基本通達』が変わると、そういうことなのです。

所得税基本通達 ≠ 法律

この「所得税基本通達」というもの。法律ではありません。
ザックリ書きますと、
【税務署のエラい人から、そこで働く職員への、仕事をする上での「命令」】
です。
税の法律は大ざっぱなところがありますから、そこを埋める、仕事のルールを決めているって感じですね。
通達は税務署長よりもっと上の人が作るんですけれど、ここでは分かりやすさで。

上のブロックに書いた変更は、「命令」の変更ということなのです。
しかし、フツーに生活している日本国民にとって、税務署のエライさんの命令なんて知ったこっちゃありません。

…なのですがその命令。
変更前の「非課税」(=税金がかからないこと)も、「命令」なんですね。
消防団員は、税務署職員じゃなければ守る必要のない命令の恩恵を受けていたのですね。今まで。

このブロックのまとめです。
「少額だし、地域のための活動だし、所得税法に反するけれど、税金かけなくてもまぁよいでしょう」
だったのが、
「所得税法のとおりにしましょうか」
になったのですね。
固定の報酬はそのままですが。

源泉徴収したり、源泉徴収票を発行する手間が。。

雀の涙の報酬に、雀の涙の税金がかかったって別にかまわないよ!
…と思う団員がほとんどでしょう。
でも、そこじゃありません。問題は他のところです。

消防団員のおおくは会社員で、「給与所得」を得ています。
そこに、わずかとはいえ消防団の「給与」が乗りますから、税金がアップすることになります。
「ちょとくらい上乗せになったって誤差だよ」の意見がおおいかな、ということは書きました。
「問題は他のところ」の問題とは、市区町村の担当職員の仕事が増えることです。

山梨県中央市の消防団は、出動1回あたり500円。
これを前提にちょっと考えてみましょう。
役職が上の方という理由でそうとう忙しく出動する立場の人で、かつコロナ前で、年間せいぜい15,000円といったところでした。
「せいぜい」、こんなものなのです。

で、ここから源泉をあずかるのです。
年に数千円なんて人がザラで、幽霊部員が1回だけ来て500円なんてこともあるでしょうね。
それでも源泉徴収票を発行しなきゃならない。。
ホントーに面倒くさい作業でしかないと思います。

2か所からの給与で確定申告?

消防団員は特にすることがないように書いてしまいましたが、ありました。
2か所以上から給料をもらっている場合、確定申告が必要になります。
確定申告の理由は、それぞれの場所で源泉徴収されるだけだと、年間の所得税が正しく計算できないからです。

確定申告って、それ自体は大した手間ではありません。
でもやったことがない人にとっては、とにかく謎。とにかくブラックボックス。
書類を作る前に「やだなーやだなー」が先行してしまうのですよね。。

●会社の「源泉徴収票」
●消防団の報酬の「源泉徴収票」
をまずは手元に用意して、国税庁のサイト『確定申告書等作成コーナー』を開いてみていただければと思っております。

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Writer|山梨県の税理士 田中雅樹

●お客さまの担当者はタナカです。
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案する。
●山梨県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』を担当(2019年4月~)
●FM-FUJIラジオ出演(1年に1回ペース)、ブログは毎日。

 

本日記

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