消防団員報酬に税金がかかることになったり,かからないことになったり
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2021年秋、全国の消防団員が受けとる団員報酬に「所得税をかけるよ」という話が持ち上がりました。
2022年4月以降に受けとるものについてです。
しかしこれが覆されました。
2022年3月、おおむね非課税にしましょうと。
あっちこっち行っていますが、そうなった経緯をザックリ書きます。
税金(所得税)の原則は「もうけにかける」
その前に、まずは税金のキホンです。
税金は「もうけ」にかかるもの。
例えばそれが「横領」「スリ」「強奪」によるものであっても、所得税法という法律は「税金をかけるよ」といっています。
これは金額の大小に左右されるものではありません。
消防団員の報酬は雀の涙だから税金はかからないよ
…というものではないのです。
消防団の報酬には配慮をしましょうという通達
そんな法律がありながらも、消防団員が受けとる報酬に(キホン)税金はかかりません。
それは、国税庁長官が国税職員に出している「命令」によるものです。
この命令のことを「通達」と呼びますが、消防団員報酬を非課税にする趣旨としては、
「消防団員は、消防団活動のために、自らが受けとった報酬を当てている。つまり身銭を切っている。そこに税金かけるのはひどいよね」
といったところでしょう。
配慮を見直した「いきさつ」
詳しいところは分かりませんが、消防団員が身銭を切っている活動費について、消防庁だかどこだかが、
「自治体(市区町村など)が負担してあげなさいよ」
というお触れがあったようです。
そうなれば、消防団員が受けとる報酬に税金をかけない理由はありません。
これが「税金かけます」となった経緯(いきさつ)です。
実態の調査→やっぱり非課税に
一時期は全国で200万人以上いた消防団員。
それが今や、80数万人にまで減少しています。
プラス、「税金かけるよ」お触れの後に、財務省だか国税庁だかが、消防庁に命じる(お願いする?)などして、実際の現場の声を調査したみたいで。
結果、消防団員の減少だったり、確定申告の負担を強いるのか? という問題だったりを考慮して、
「税金かけるの誰得?ってなりそうだね…」
という結論にいたったようです。
1日あたり8千円を超える報酬を出す場合は税金かけます、とか。
新しい基準はできたものの、そんなにたくさんのお金を消防団に出す余裕がある自治体は少ないでしょう。
活動にかかる経費を自治体が負担した上で、消防団員の報酬は非課税。
これが妥当だと思います。
Writer|田中雅樹(税理士)
●担当者はタナカ本人。
●社長の「こうしたい」を取り入れた問題解決を提案する。
●山梨県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』を担当(2019年4月~)
●FM-FUJIラジオ出演(1年に1回ペース)、ブログは毎日。
本日記
夏日。半袖短パンでも暑かったです。
というわけでして、早くも「空調ざぶとん」の出番。
快適さがぜんぜん違います。
昨日の1日1つ
●プライムビデオでボクシングタイトルマッチ観戦
今日のラジオ
●オードリーのオールナイトニッポン