全経法人税法|損金の額とは。「費用≒損金」。
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損金の額です。
少々文字が多めですが、損益計算書をイメージしながら読んでいただければと思います。
【前回】全経法人税法|交際費とは。接待飲食費50%、800万円定額控除限度額
損金の額
法人税法には(別段の定めを除いて)次の額が「損金」であると書かれています。
- 売上原価
- 販売費及び一般管理費
- 損失の額
ひとつずつ見てまいりましょう。
売上原価
簿記(会計)の感覚で考えていただければ!
なのですが、味気ないので補足させていただきます。
「売上」げるための「仕入」
たとえば小売業であれば、「売れた商品」に対する「仕入れ値」です。
「売れた商品」は、仕入れたことで勝手に売れていった…
ワケではなく、当然に 人件費・いろいろな経費 がかかります。
かかるのですが、人件費や経費は、売れなくてもかかるのが通常。
売上原価とは、売上げた商品と切っても切れない費用。
「売れた商品そのものにかかった仕入れ値」であると、まずは考えていただければと思います。
販売費及び一般管理費
2つめは「販売費及び一般管理費」です。
法人税法ではもうちょっと固い表現をとっていますが、おおよそ「販売費及び一般管理費」のことをいっています。
売上原価とちがうのは
売上原価と異なるのは、「当事業年度という時間のワク内にかかった費用」であることです。
会計の理論を学んだことのある人であれば、「期間的対応」というワードがしっくりくるでしょうか。
ただし債務の確定しないものを除く
「販売費及び一般管理費」であっても、法人税法の損金にはならないものがあります。
それが「その事業年度終了の日までに債務の確定しないもの」です。
はじかれる「●●引当金」
代表例は「賞与引当金」です。
会計(簿記)では、当会計期間に対応した賞与引当金が経費となります。
でも、法人税法では賞与引当金は損金になりません。実際に支払いをしてようやく損金となります。
例外的に損金として認められるのが「貸倒引当金」で、
(もちろん法人税法で決められた限度額がありますが、)
引当金のほとんどは損金となりません。
理由は「債務確定主義」の3つの要件を満たしていないから、です。
「具体的な給付原因事実」を満たしていません。
損失の額(資本等取引以外)
上からの流れで書きますと、「営業外費用」や「特別損失」が『損失の額』に当たります。
「資本等取引」とは、たとえば「配当金の支払い」や「自己株式の取得」です。
これらは損失の額ではないですよと、そんな意味です。
別段の定めを除く
引当金のあつかいが会計(簿記)とは異なるものの、上記ブロックまでほとんど【費用=損金】でした。
しかしやっぱり違います。「=」ではなく「≒」です。
「益金」もそうでした。
「別段の定め」は、公平な課税のため
例としては、前回の「交際費」ですね。
簿記の仕訳で借方に「交際費」を計上しても、法人税法によって上限が定められています。
Writer|山梨県の税理士 田中雅樹
●税理士試験・税法合格科目:法人税法、消費税法、相続税法、国税徴収法
●山梨県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』を担当(2019年4月~)
●他にもFM-FUJIラジオ出演、ブログなどを通じ、身近な税を分かりやすく届けている
本日記
最高気温18度台という涼しい一日。
申告書作成に手をつけつつ、社会が動き出しているのを感じつつ。
税理士の立ち位置としてのコロナ対応と入れ替わって、本来の(元の)波がやってきてるなー感。です。
昨日の1日ひとつ
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