全経法人税法|一括評価金銭債権の貸倒引当金
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今回は「一括評価金銭債権」について見てまいりましょう。
一括評価金銭債権。対象となるもの、ならないもの
第1段階としてどんな債権が対象になるか・ならないか、見てまいりましょう。
対象となる金銭債権
次のような債権が対象となります。
- 受取手形、割引手形、裏書手形
- 売掛金、未収入金
- 貸付金(従業員貸付金もOK)
- 貸付金の未収利息
- 仮払金、立替金
対象とならない金銭債権
次のような債権は、一括評価金銭債権の対象となりません。
- 預貯金の未収利息
- 前払い給料、概算払い旅費など
(近い将来精算されるもの) - 手付金、前渡金
- 仕入割戻しの未収金
- 保証金、敷金、預け金
(将来変換される部分) - 個別評価金銭債権として貸倒引当金の設定対象となったもの
【解説】ならない債権
少々長くなりますが、「ならない債権」について、軽く説明をば いたします。
「預貯金の利子」が銀行から支払われないなんて、まず考えられません。
「前払い給料」は、次回の給料から差し引けば回収完了。
「概算払い旅費」は、経理担当(あるいは社長)が精算すればヨシ。
「手付金」「前渡金」は、回収するような性格のものじゃありません。
「仕入割戻し」は、大量に仕入れた場合などの特典です。入金が遅れたから即回収って感じではありません。
「保証金」「敷金」「預け金」は将来返ってくるものです。回収するものって感じじゃないです。
個別評価金銭債権として貸倒引当金の設定がされたものは、すでにそちらで行った処理で終了です。
実質的に債権とみられないものの額
お互いに債権を持っている場合(持ち合いの状態である場合)、差額部分だけを入金してもらうことがあります。
たとえば次のような場合ですと、もらうお金がない代わりに、支払うお金もナシです。
同様に考えれば、差額分だけ入金してもらうことに納得していただけるかと思います。
実務でも普通に行われています。
- 当社(A社)はB社に対する売掛金100万円をもっている
- B社に対する買掛金が100万円ある
という場合。
A社はB社から100万円を回収すれば、お互いの債権(債務)が片付きます。
という理屈を知ったうえで大小比較していただくことが一番なのですが、形式的に考えることも可能ではあります。
200万円 > 100万円 ∴100万円
比較して小さいほうをとるだけですので。
法定繰入率
さいごに繰り入れ率です。
試験対策を考えた場合、次の3つをおさえておく必要があります。
- 卸売業・小売業…10/1000
- 製造業…8/1000
- その他(サービス業など)…6/1000
余力があればコチラもおさえましょう。
出ないと思いますが。
- 金融業・保険業…3/1000
- 割賦販売小売業…13/1000
実績繰入率は2級で
3級では法定繰入率のみ。
2級では「実績繰入率」も出題範囲となります。
この記事では省略します。
算式(まとめ)
以上をまとめますと、算式は次のとおりです。
(一括評価金銭債権 ー 実質的に債権とみられないものの金額)× 法定繰入率
債権が「対象となる」か「ならない」か。
そこさえクリアできれば後は単純ですので、しっかり得点源にいたしましょう。
【次回】全経法人税法|税額の計算
Writer|山梨県の税理士 田中雅樹
●税理士試験・税法合格科目:法人税法、消費税法、相続税法、国税徴収法
●山梨県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』を担当(2019年4月~)
●他にもFM-FUJIラジオ出演、ブログなどを通じ、身近な税を分かりやすく届けている
本日記
最近「ていねいな仕事するなぁ」と思ったこと。
コミックス版『異世界居酒屋のぶ』と、アニメ版『鬼滅の刃』。
最近ハマっているというだけ、でもあります。
昨日の1日ひとつ
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