全経法人税法|寄附金の取り扱い(1)
スポンサーリンク
「寄附金」です。
会計(簿記)の世界では経費となる寄附金ですが、法人税の世界では割と狭き門となっています。
【前回】全経法人税法|税額の計算
法人税法の寄附金
寄附金は、会計上は費用です。
でも、法人税法では一定の制限(上限額)があります。
なぜ制限があるのか。それは、
- 反対給付がないから
- 無制限に認めると法人税額が不当に減少してしまうから
です。
指定寄附金等は制限ナシ
寄附金すべてが制限の対象、というわけではありません。
- 国・地方公共団体に対する寄附金
- 財務大臣の指定する寄附金
は、支出した金額が損金となります。
日本赤十字社などへの寄附金(特定公益増進法人への寄附金)
- 独立行政法人
- 自動車安全運転センター
- 日本赤十字社
- 社会福祉法人
などへの寄附金は、「特定公益増進法人への寄附金」として区分します。
限度額の計算
特定公益増進法人への寄附金の限度額は、次の手順で計算します。
- 別表四仮計+損金経理した寄附金(支出額)
- 期末資本金等の額 ×(12/12)×(3.75/1000)
- 「1」×(6.25/100)
- (「2」+「3」)× 1/2
補足
- 「2」の金額のことを『資本基準額』とよびます。
資本金を元に計算するイメージを持つとよいでしょう。
計算式の(12/12)は、法人の1事業年度が12か月の場合です。
たとえば1事業年度が半年ですと、(6/12)となります。 - 「3」の金額のことを『所得基準額』とよびます。
その事業年度の所得金額を元に限度額を計算するイメージです。
その他の寄附金(一般寄附金)
上記以外への寄附金は「一般寄附金」として区分していきます。
具体的には、次のようなものです。
- 宗教法人への寄附金
- 町内会の祭への寄附金
- 神社の祭礼等への寄贈金
限度額の計算
一般寄附金の限度額は、次の手順で計算します。
「特定公益増進法人」の限度額と比べますと、ずいぶん少なくなります。
- 別表四仮計+損金経理した寄附金(支出額)
- 期末資本金等の額 ×(12/12)×(2.5/1000)
- 「1」×(2.5/100)
- (「2」+「3」)× 1/4
補足(特定公益~と同じ)
- 「2」の金額のことを『資本基準額』とよびます。
資本金を元に計算するイメージを持つとよいでしょう。
計算式の(12/12)は、法人の1事業年度が12か月の場合です。
たとえば1事業年度が半年ですと、(6/12)となります。 - 「3」の金額のことを『所得基準額』とよびます。
その事業年度の所得金額を元に限度額を計算するイメージです。
損金不算入額
最後に、損金不算入額の計算と、別表四への転記例です。
支出した寄附金の額 ー 限度額 = 100
▼
別表四・仮計の下『寄附金の損金不算入額』100
(続きます。)
Writer|山梨県の税理士 田中雅樹
●税理士試験・税法合格科目:法人税法、消費税法、相続税法、国税徴収法
●山梨県内の専門学校・非常勤講師として『租税法』を担当(2019年4月~)
●他にもFM-FUJIラジオ出演、ブログなどを通じ、身近な税を分かりやすく届けている
本日記
オリンピックの影響で10月に開催予定となっていた「神明の花火大会」。
コロナの影響で中止が決まりました。
今ほど規模が大きくなかった頃、毎年のように三珠町(現在は市川三郷町)で見ました。
ここ十数年はとんと…ですが、中止となると複雑です。
昨日の1日ひとつ
- ○○△△××トライアル